複雑物性基礎研究室の粉粒体物理グループです。

当グループでは、つぶつぶしたものの集団的振る舞いについて、物理的な観点から、実験、数値計算、理論を用いた総合的な研究を行っています。
夢ナビで行った研究紹介の動画は こちら。(3分の簡易版と30分のミニ講義があります。)

実験

主にサイズ分離現象に関する実験を行っています。

回転円筒容器内のサイズ分離現象

数値計算

分子動力学法の一種である、離散要素法を用いて数値計算を行っています。

下の図は、3次元のシミュレーションで、約10000個の粒子で作った砂山です。

理論

パターン形成の現象論的モデル、確率論を用いたモデル化、平均場近似を用いた粉粒体の巨視的応力歪みの関係式(線形弾性論)など。。。

研究室の方針

基本的に、可能な限り、何をすべきか、自分で考えて行動できるようになることを目指して指導しています。ですので、学生に対しては、何事かを強制する、ということは極力避けるという方針でいます。ただし、3年生までの座学中心の生活から、いきなり、「はい、今日からすべて自分で考えてね。」というのは難しいと思うので、始めはこまめにサポートをしながら、将来的には自立して研究できるような指導を目指しています。
居室に滞在するコアタイムは課していません。コアタイムがない、というのは、大学に来なくてよい、という意味ではなくて、来る時間、帰る時間は自由、という意味です。粉体グループでは、実験をする学生が多いですが、実験は家ではできないことが多いので、基本的には毎日大学に来ることにしています。

週報

2018年11月から、毎週、週報をみんなで出し合っています。週報というと、毎日何をしたか、学生の作業を教員が管理するためのもののようなイメージがありますが、私たちがやっているのはそういうものではありません。自分で考えて行動できるようになるための、一つのツールとして週報を採用しています。

この作業を繰り返すことで、計画的に研究を進められるようになってほしいと思います。 基本的には、月曜日に週報を見ながら、今週何をするか議論することにしています。 提出はSlackにみんなが出し合う形になっています。

金曜日にまとめて書いたりするのはあまり意味がないのですが、こまめなことが苦手な人はちょっと面倒くさく感じるかもしれません。 個人的には、週報にやることリストを付けていて、いつまでもやりそびれていることがあると、そろそろやってしまおう!!とか、自分のタスク管理にはすごい役立っていて、気に入っています。 というわけで、1年ちょっと続けてみて、学生さんに効果があったかどうかはちょっと未知数ですが、まだしばらく続けようと思っています(2020年11月30日現在)。

卒業研究(特別研究)について

特別研究は、複雑物性基礎研究室の木村康之先生のグループと合同で行っています。
2020年度からは、4年生の研究テーマは春に決めて、前期から研究を開始します。 履修状況によっては、4年生の間にまだ履修科目が残っている場合があると思います。 その場合には、個々の状況に合わせて、研究のペースを調整します。

定例ゼミについては、4年生の前期はゼミに参加するだけですが、後期は研究紹介と論文紹介をします。
修士の学生は、前期・後期それぞれで研究紹介と論文紹介を行います。
また、毎年12月に、 日本物理学会九州支部例会で、学生は全員発表をします。

過去の学生のテーマは、 研究のページをご覧ください。
これまでの稲垣の研究は こちら をご覧ください。

過去に扱った輪読の本
「非平衡系の物理学」 太田隆夫著 裳華房 (2015年)
「非線形ダイナミクスとカオス」 Steven Strogatz著 丸善 (2016年、2019年、2022年)
   Youtubeで
Prof. Strogatzの講義を見ることができます。
   原著は、平易な英語で書かれているので、原著に挑戦するのもよいでしょう。
「分子間力と表面力」 Jacob N. Israelachvili著 朝倉書店 (2017年)
「Soft Matter Physics」 Masao Doi著 Oxford University Press (2018年、2021年)
「レオロジーの世界」 尾崎 邦宏 著 森北出版 (2020年)

年間スケジュール

その他、伊都キャンパスや近郊で研究会などがあると、参加するのを奨励しています。
太字は多くの人に関連するイベント、緑字は毎年恒例の飲み会です。

卒業後の進路について

まだ卒業生は少ないですが、卒業後は修士課程に進学するか、企業に就職します。
卒業生の就職先:日鉄日立システム、三重富士通セミコンダクター、九州大学システム情報科学研究院、国家公務員(経産省)、凸版印刷、日産、高校教員

もともとは、粉粒体の振る舞いを記述する理論的枠組みを構築したい、と思って研究を始めましたが、粉粒体は、状態を一意的に決めるのに必要な物理量がそもそも明らかになっていないため、まずは実験や数値計算で、どういった物理量が重要か、を探していくような研究が主になっています。実験や数値計算で得られた結果を、モデル化するなどして理論的にも考察していきます。

粉粒体ってなに??と知りたくなった方は、サイエンス・ニュース・ネットワーク 第30回粉粒体の科学-身近で不思議な物理学で、おもちゃを使った粉粒体の紹介をしていますので、よろしければご覧ください。

稲垣のホームページはこちら

当グループでは、大学院修士課程、博士課程、ポストドクターの受け入れを歓迎しています。 研究室見学を希望する方は気軽に稲垣まで、ご連絡ください。